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大切なお店があるということ。

よしおには大切なお店があります。
そのSというお店、昔からある小さな喫茶店。
イマドキのお店ではありません。
ご夫婦で切り盛りされているその店は主に定食がメイン、本棚にはマンガがずらり。
寡黙なマスター(ご主人)と、明るくて人当たりのいい奥さん。
お客が居ようと居まいとカウンターの中でケンカも勃発(´∀`)。
それもSならではの風景でした。

よしおが初めてここのお店に行ったのは、もう10年以上前のこと。
当時、付き合っていたカズキに連れて行ってもらいました。
仕事も不規則・お金もない・自宅にあまり戻ることもなかったカズキにとって、ここのお店は数少ない行き着けのお店。
実際、安いお金でバランスのとれた食事ができ、アットホーム過ぎるほどのその雰囲気はよしおも大好きでした。







しかし、カズキが亡くなってからというもの、よしおの足もずいぶんSから遠のいてしまいました。
亡くなって半年経ち、あれだけお世話になったのだから・・と立ち寄ったのですが、すでにあの人が亡くなったことを
他の常連のお客さんから聞いていたオバチャンに「よっちゃん、大丈夫?」と声を掛けられ。
当時のよしおにとって、それがものすごく辛かったのです。
ふたりで並んで座ったカウンター。ダラダラと居座った端の席。車のキーをインロックしてしまった店の駐車場。
ただすべてが辛くて。
ただそのときは辛くて辛くてどうしようもなかったのです。


それからあっという間に5年が過ぎてしまいました。

***

先日、広島で支店のMさんとお酒を飲みながら話をしていたとき。
Mさんから「オメェのお気に入りの店って何?」と聞かれ、ふとSのことを思い出して話をしました。
「なんかさー、いまでもときどきお店の前を通ったら『あー、まだやってるなー』って思うの。
オジチャンもオバチャンも元気かなーっておもうんだけどね。なんだか・・もう・・気まずいというか。
行きたいんだけど行けねえの。なんだか・・もういまさらって感じがして。行き辛いの。」
すると。
Mさんから「オメエはアホかと。バカかと。行き辛くて行けないとか意味わからんわ。」と言われました。

【いい店】ってのはなにも自分を贔屓にしてくれるとか、ウマいからとかそういうだけじゃなくて。
どんなときでも一人でも気負わずに行けて、いつ行っても変わらない居心地のよさがあるってことなのに。
他人のオメェをそこまで心配してくれた夫婦なんだろ?自分自身、いまでも気になってんだろ?いい店じゃねえか。
そんな店が身近にあるのにさ、オメェ、ナニ行き辛いとか気まずいとか言ってんの?
そういう人らって、いろんな経験して人やモノを見てて、俺らなんかよりもっすげえ苦労してんだよな。
だからこそ、気持ちもデカイしよ。
俺らの5年なんかさ、そのオバハンらにしてみたらほんの5日程度なもんよ。
オメェが気にしてるほど、あっちはなんとも思ってねーよ。
俺見てみろ。転勤ばっかでさ。友達が近くにいるわけじゃなし、行きたい店がすぐそばにあるわけでもない。
オメェが羨ましくて仕方ねえわ。
だから。
行きにくいとか言わずに行ってこいよ。
絶対オバハン、オメェの顔見てよろこんでくれるって。
な、コレ、命令。明日早めに岡山帰れ。んで、その足でそのままま行ってこい。

***

Mさんに背中を押され。
いまここで行かねば、弱虫なよしおはもう一生行けないような気がして。
さらに帰りのパーキングでもみじ饅頭を購入。
「これを『お土産です』つって持って行こう・・・」と自分を奮い立たせる。←実に気が弱くて手間が掛かる。
店の前をマーチンで2往復。やっと停めた店の駐車場で更に10分。
意を決して中に入ったら。
オジチャンが少し驚いた顔をして迎えてくれました。
ふたりとも白髪増えてて、「もういまは年金生活だから、店もボチボチ程度でいいのよ」って笑ってました。
「なんかひさしぶりな感じするわねー。2年ぶりくらい?」 by オバチャン
Mさんの言うとおりだったわ・・・。>実際は5年ぶり

コーヒーもらって、「出張の帰りです」ってもみじ饅頭渡し、ずいぶんのご無沙汰を詫びたら
「仕事も変わらずがんばってるのね。偉いわあ(´∀`)。どうしてるのかなあーって思ったりもしたけど
ホント元気そうでよかった。またなんかあったらいつでもオバチャンに話してくれたらいいからね。
オジチャンはあいかわらず無愛想な人だけど、内心はアナタが来てくれてうれしくて仕方ないのよ。」って言ってくれて。
店の中にあるマンガの棚や、コーヒー沸かす茶色くなった小鍋。
オジチャンの無愛想っぷりとか、オバチャンの優しい言葉とか。
初めてここの店に来たときから10年以上たってるのに、なにも変わってない・・と思ったら。涙出ちゃった。
単によしおが考えすぎてただけだった。ホント、Mさんの言うとおりよしおバカ。
ここの店って大切。オバチャンもオジチャンも大好き。
こんなお店をよしおに教えてくれたカズキありがとう。あなたが残していった目に見えない宝物。

***

その日の夜。Mさんから電話がありました。

もー。今日はぜんぜん寝れてないし二日酔いだし喉いてぇし体ダリぃしどういうこったよ。
全部オメェのせいな。
は?Sに行った?あー、覚えてるよ、ああーSね。ふーん、そっかそっか。
へぇー、ご夫婦でまだやられてた。そうかー。ハァ?、2年ぶりって言われたってか。ヘヘヘヘヘ。
そかそか。二人とも元気そうだったか?ふーん。そっかそっか。よかったじゃん。行ってよかったな。
んじゃ、ちゃんと昨日の研修報告書とか領収書だせよ。じゃな。

チーン。



MさんのSっぷりに感謝。
でもケツバットのことは・・(以下省略
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by sea-see-zoo | 2009-03-30 14:50 | ほっぺがおちる話
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